FTPソフトは、HTML等のファイルをサーバーへアップロードするために使用されるツールで、WEBサイト制作においては必須のツールです。
FTPとはファイル転送プロトコルの一種であり、ファイル転送プロトコルは、セキュリティや転送方式などによってFTPS・SFTP・SCPなどの種類に分かれています。
本記事では、おすすめのFTPソフトが知りたいと思っている方へ向け、FTP・FTPS・SFTP・SCPの違いを解説していきます。
目次
ファイル転送プロトコルって何?
ファイル転送プロトコルとは、ファイルを転送するときの方法を定めた規格のことです。
プロトコルはコンピュータが通信する際の規格という意味であり、この規格に基づくことでスムーズな通信が実現できるのです。
転送するファイルのデータ容量が大きいと、そのまま転送できないので、データをパケットと呼ばれる複数のデータへと分解します。このパケットは送信先で復元され、再び利用できるようになります。
ファイル転送プロトコルとは、このデータ分解・送信・復元時に、「どのようにデータを分解するか」・「どのようにデータを送受信するか」・「どのようにデータを復元するか」を定めた規格なのです。
なぜ必要か?
FTPソフトがWEBサイト制作・管理に必要なのは、HTMLファイルや画像ファイル、音声データなどをサーバーへアップロードする必要があるからです。
WEBサイトで使用されるファイルやデータは容量が大きいので、パケットに分解しなければ転送することができません。そのため、WEBサイトの制作・管理においてFTPソフトを使用し、各種データをパケットに分解・転送・複製をする必要があるのです。
ファイル転送プロトコルの種類
ここではファイル転送プロトコルのうち、以下の4種類について解説していきます。
- FTP
- FTPS
- SFTP
- SCP
FTP
FTP(File Transfer Protocol)は、インターネットの黎明期に登場したファイル転送プロトコルであり、全てのファイル転送プロトコルの元祖といえる存在です。
各種データファイルのアップロード・ダウンロードに使用される、最もシンプルな方法であり、以降全てのファイル転送プロトコルのベースになっています。
FTPでファイルを転送する仕組みは、一般的に以下のとおりです。
- FTPサーバーにファイルをアップロード
- TCP/IPという通信プロトコルを経由してFTPサーバーにファイルを送信
- 受信者がファイルを受け取ってダウンロード
FTPには、以下のメリットとデメリットが存在します。
FTPのメリット
FTPのメリットはインターネット黎明期から使用されているという、歴史の長さと、ファイルを格納しているディレクトリを複数転送できる点にあります。
後述の理由から一部の用途を除いて使用者は減っていますが、40年以上前に作られたこの規格は今も使用されています。以降のファイル転送プロトコルは全てこのFTPをベースとしているので、基本的な仕組みは、FTPの時点で完成していたといえるほどです。
また、様々なツールやアプリに実装されています。
FTPのデメリット
FTPのデメリットは、利用者のユーザー名・パスワードが暗号化されておらず、セキュリティに関して非常に脆弱な点にあります。
そのため、企業でWEBサイトを運営しているのであれば、FTPを使用してファイルを転送することは非常に危険です。WEBサイト制作会社や、ビッグデータを活かしてビジネスを行う企業でFTPを使うところは、現在はほとんどありません。
セキュリティ性を重視するのであれば、以下のFTPSやSCPを使用しましょう。
FTPS
FTPS(File Transfer Protocol Secure)は、1990年代後半に作られた、FTPの改善版といえるファイル転送プロトコルです。
FTPSではSSL(Secure Sockets Layer)・TLS(Transport Layer Security)という、通信を暗号化する仕組みを採用しており、高いセキュリティのもとでファイルを転送します。
FTPSのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
FTPSのメリット
FTPSのメリットは、SSL/TLSによって高いセキュリティを確保している点と、SSLのもとでファイルを転送できる点にあります。
後述のSCPなど、同じく通信が暗号化されたファイル転送プロトコルであっても、転送先がその暗号化技術に対応していなければ利用できないことがあります。
FTPSに使われているSSLは、インターネットの通信暗号化技術として広く普及しているので、多くのインターネットインフラがFTPSでのファイル転送に対応した仕様です。
転送先のサーバーのSSLへの対応・非対応を気にせずに使用できるので、高いセキュリティ性を維持しつつも気軽に扱うことが可能です。
FTPSのデメリット
FTPSのデメリットは、通信がファイアウォールに妨げられる場合がある点です。
例えばWindowsのファイアウォールでは、SSL通信では正しく動作せず、ファイアウォール側がデータの中身を判断できずに外部への通信を切断してしまいます。
しかしユーザー側で設定を変更し、SSL通信をブロックしないようにすれば正しく通信できます。そのため、Windowsユーザーは最初の設定に手間取るかもしれません。
SFTP
SFTP(SSH File Transfer Protocol)は、暗号化技術にSSH(Secure Shell)を使用して通信をするファイル転送プロトコルです。
SSHは、ネットワーク接続された端末の遠隔操作に使用される暗号化技術であり、SSLより高いセキュリティのもとで通信をします。そのため、SFTPではFTPSよりも高いセキュリティのもとでファイル転送を実行できます。
SFTPのメリットは、以下のとおりです。
SFTPのメリット
SFTPのメリットは、SSLよりセキュリティ性の高いSSHのもとで通信をする点にあります。
SFTPではパスワードなどの認証情報も含め、全てのデータを暗号化して転送できるので、よりセキュリティ面で強固です。また、同様にSSHを採用している後述のSCPとは異なり、ファイル転送が中断されてもその時点から転送を再開できます。
SFTPのデメリット
SFTPのデメリットは、後述のSCPに比べて通信速度が遅い点です。
しかし通信速度が遅い以外は目立ったデメリットはなく、FTPよりもセキュリティ性の高いファイル転送プロトコルだといえるでしょう。
SCP
SCP(Secure Copy Protocol)は、SFTPと同様、暗号化技術にSSHを使用したファイル転送プロトコルです。
SFTPと同じくSSHを使用しているので、SSLよりも高いセキュリティ性が確保されています。
SCPのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
SCPのメリット
SCPのメリットは、SFTPと同様にSSHのもとで通信をする点と、SFTPよりも通信速度が速い点にあります。
SCPではSFTPと同様に、パスワードなどの認証情報が暗号化されるほか、通信速度が速いのでより軽快にファイル転送ができます。
SCPのデメリット
SCPのデメリットは、ファイル転送だけに特化しているのでファイル管理や削除ができず、ファイル転送が途切れた際に再開できない点です。
そのため、SCPでは間違って不要なファイルをアップロードしても、それをサーバーから削除できません。大容量のデータを転送しているときに通信が途切れたら、また最初から転送をしなければならないので、時間がかかってしまいます。
FTPソフトのおすすめ2選
ここからは、初心者の方におすすめのFTPソフトを紹介していきます。
以下のFTPソフトは初心者の方も手軽に使用できる点が魅力ですが、正しく使用するにはある程度の知識が必要なので、不安な場合は、専門家に相談することをおすすめします。
①FileZilla
FileZillaはFTP・FTPS・SFTPに対応している、フリーFTPソフトです。
その特徴は、以下の4つです。
- XSERVERやConoHa WING・ロリポップなど、大手レンタルサーバーでサポートされている
- WindowsとMacの両方で使用できる
- 日本語に対応している
- 無料で使用できる
上記の特徴からFileZillaは、個人から企業まで、使用者が幅広く存在しています。そんなFileZillaのダウンロード・使用方法は、以下のとおりです。
- ダウンロードページから、自分のパソコンに適したバージョンをダウンロード
- インストーラーが起動するので、指示に従ってインストール
- インストール後にソフトを起動する
- 左上のサイトマネージャーを開き、サーバーの接続情報を登録する
- 「新しいサイト」→サーバー情報入力→ユーザー名・パスワード入力→「接続」をクリックして、サーバーへ接続する
- 左側にパソコン、右側にサーバーの状態が表示される
- ファイルをサーバーへアップロードするには画面左側から右側へ、サーバーからのダウンロードは画面右側から左側へドラッグ&ドロップする
②WS_FTP Professional
WS_FTP Professionalは、有料のFTPソフトであり、世界中で4,000万人以上の使用者がいます。
FTPSとSFTPに対応しており、高いセキュリティ性を維持しているので、転送中と転送前・転送後のファイルを保護してくれます。WS_FTP Professionalの特徴は、以下の3つです。
- 日本語に対応している
- Windowsに対応している
- ファイルのタイムスタンプ保存・上書き禁止などに対応
WS_FTP Professionalのダウンロード・使用方法は以下のとおりです。
- ダウンロードページからダウンロード
- インストーラーが起動するので、指示に従ってインストール
- ソフトを起動し、「ホスト情報」タブをクリックしてサーバー情報を入力
- 「詳細のプロパティ」タブをクリックし、環境設定画面を開く
- 「スタートアップ」のタブをクリックし、必要に応じてリモートポート等入力
- 「保存」ボタンをクリックし、「OK」ボタンをクリックしてサーバー情報を保存
- 「接続」ボタンをクリックして、サーバーに接続する
- 画面左側にパソコン、画面右側にサーバーの状態が表示される
- アップロードするファイルを選択し、「アップロード」ボタンを押す
おまけ:通信プロトコルとは?
通信プロトコルは、WEBサイトを閲覧するためのブラウザとサーバーが通信するための規格です。
WEBサイトは、ブラウザからサーバーにリクエストを送り、サーバー側からデータが送られることで表示されます。このときにどのような通信プロトコルを使用するかで、セキュリティに差が生じるので、よく確認しておきましょう。セキュリティに差が生じるので、よく確認しておきましょう。
通信プロトコルには、以下の2種類が存在します。
HTTP
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は動作が非常にシンプルな通信プロトコルです。
HTTPではブラウザ側からの1つの要求に対し、サーバー側は必ず1つの応答をするようになっており、過去の要求とその処理によって応答が変わることはありません。メリットは、サーバー内に過去の要求を保存しないので、サーバーに負荷がかかりにくい点です。
HTTPのデメリットは通信が暗号化されていないので、第三者によって情報が盗み見られる危険性がある点です。後述のHTTPSは、このデメリットを解消したものです。
HTTPS
HTTPS(Hytertext Transfer Protocol Secure)は、HTTPの通信をSSL/TLSで暗号化して、第三者が通信内容を盗み見られないようにした通信プロトコルです。
サイバー攻撃のリスクが常に存在する現在では、このHTTPSが主流になっており、誰かに通信を傍受されてもその内容を盗み見られる心配はありません。
仮に通信内容が改ざんされてもそれを通知してくれたり、接続先のサーバーを検証したりしてくれるので、高いセキュリティのもとでインターネットを利用できます。
HTTPSは、HTTPの汎用性やシンプルさを活かしたまま通信ができるので、現在多くのWEBサイトで採用されています。
また、WEBサイトのHTTPS化は、検索順位に影響するSEO対策においても重要な指標の1つになっています。現在HTTPSを導入していないのであれば、これを機に改善してみてはいかがでしょうか。
まとめ
FTPはWEBサイト制作・運営に欠かせない知識です。WEBサイト制作・運営で失敗したくないなら、この記事を読んで分かったFTPの知識を、現場で活用していきましょう。
また、自社サイトにHTTPSを導入できていないのであれば、この機会に導入を検討してみましょう。
しかし、「どのようにしてHTTPSを導入すれば良いか分からない……。そもそもHTTPSの導入だけで検索順位は上がらないでしょう?」と思う方、そのとおりです。
検索順位を上げるためには、他にも様々な施策を実行する必要があります。専門知識や経験がないと、どこから手をつければ良いか分からず、時間を消費してしまい、コンバージョンを逃してしまいます。
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