動画広告は、インターネットの無料動画コンテンツを利用した広告のことであり、SNSや動画共有サイトを利用するユーザー層へのプロモーション手段として、最も効果的な施策の一つです。
株式会社サイバーエージェントがまとめた「2020年国内動画広告の市場」では、動画広告の市場規模は2024年で最大6,856億円になると予測されており、動画広告は2022年を過ぎた後もマーケティングにおいて重要な立ち位置を維持していくと言えます。
そんな動画広告ですが、具体的にどの媒体が自社に適しているのか・どれくらいの費用になるかが分からない・費用対効果を上げる方法を知りたいと思い、なかなか制作に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、動画広告の種類ごとの費用相場と動画広告を運用するメリットなどについて解説します。
動画広告の効果を向上させ、費用対効果を上げる方法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
動画広告の効果
動画広告には、以下の3つの効果があります。
- 企業の認知度向上・イメージブランディング
- 商品・サービスの販売促進
- 映像・音声を用いることによる短時間での訴求
動画広告は静止画に比べて情報量が多く、テレビのCMと同様に、視覚と聴覚の両方を通じて一度に大量の情報を送れるという点が特徴です。そのため視聴者の印象に残りやすく、自社の認知度向上やブランディングにつながりやすいという効果があります。
動画広告には高い集客効果があることから、商品やサービスの販売促進に大きく貢献することができます。
特に10~20代はスマートフォンでの動画視聴が一般化しており、TwitterやLINEなどのSNSの利用率も高いことから、話題性のある動画広告を制作して彼らがよく使うSNSに投稿すれば、動画はすぐに拡散されて広範囲にアプローチすることが可能です。
動画広告はユーザーの購買意欲を掻き立てやすく、広告の内容に興味を持ったユーザーが広告リンクをクリックする確率が高いため、コンバージョンにつながりやすいという特徴もあります。
よって、的確なターゲティングをして動画広告を作成すれば、それだけユーザーの印象に残り、購入につながる可能性が高まるのです。
動画広告の種類
動画広告には大きく分けて4つの種類があります。
- インストリーム広告:動画の視聴前や視聴中に表示される広告
- バンパー広告:再生時間が6秒以下でスキップ不可の広告
- インバナー広告:Webサイトのコンテンツ周辺に表示される広告
- インリード広告:Webページのスクロール後、動画広告が表示されたら再生される広告
今回は、インストリーム広告の代表YouTubeと、インリード広告でよく使われるSNS媒体の特徴を解説したいと思います。
※インバナー広告については、ディスプレイ広告として運用されることが多いので、ここでの説明を割愛しています。
掲載媒体ごとに特徴とユーザー層が異なるため、それぞれに適した動画広告を制作して配信することで、狙った通りの効果が得やすくなるでしょう。
以下、動画広告の種類ごとの特徴や主なユーザー層、訴求に適した動画の傾向などを紹介します。
YouTube
YouTubeの動画広告は、動画再生前や再生中に表示されるインストリーム広告やバンパー広告、おすすめ動画欄などに表示されるディスカバリー広告が主となっています。
途中でスキップすることが可能な広告もあればそうでない広告もあり、ユーザーが視聴したい動画の中に挟まれる形で配信されるため、多くのユーザーに訴求できます。
ただし、配信時にユーザーが視聴している動画の再生を中断させることになるため、早く動画の続きが観たいユーザーにはむしろ逆効果になるリスクも無視できません。
YouTubeの動画広告は高い訴求性を持つ一方で、ユーザーを商品やサービスから離れさせる懸念も持った広告だと言えるでしょう。
Twitterの動画広告は、ユーザーがSNSに登録した個人情報をもとにした詳細なターゲティングをした上で配信でき、高い拡散性を持っていることが特徴です。
ユーザー個人のタイムラインやおすすめユーザー欄に動画広告をプロモーション形式で表示でき、リツイートを上手に活用すれば数多くのユーザーに訴求することができます。
Twitterのユーザーは10〜20代の若年層が多いため、エンターテインメント要素の強い動画広告が高い訴求力性を持っています。
Instagramの動画広告は、ユーザーがフォローしているユーザーの投稿を閲覧するニュースフィードや、画面上部のストーリーズに表示するタイプの2種類があります。
ユーザーの個人情報をもとに地域や年齢、家族構成や興味などをターゲティング時の要素に加えることができるため、より詳細なターゲット選定が可能です。
Instagramはユーザーの約60%以上が若年層の女性であり、マーケティングで重要なエンゲージメント(広告に対する反応)率が高いという特徴があります。そのため、ビジュアルを意識した広告が好まれる傾向にあります。
Facebookの動画広告は、記事内に広告が埋め込まれるニュースフィードやモバイル専用の動画広告などの種類があります。
通常のFacebook広告の場合は画像内に表示できるテキスト量に制限がありますが、動画広告の場合はその制限がないため、ユーザーへの訴求がしやすくなっています。
他のSNSと比較してユーザー層が幅広いことが特徴なため、ビジネス系の動画広告とも相性が良いです。
動画広告の単価相場・費用目安
動画広告の料金単価は掲載媒体が採用している課金方式によって異なっています。
課金方式によって広告運用全体の費用が変わってくるため、種類ごとの特徴と計算方法を理解し、運用戦略を立案・実行することが大切です。動画広告の課金方式には、以下の5種類が あります。
インストリーム広告やバンパー広告、おすすめ動画欄などに表示されるディスカバリー広告
- CPC(クリック課金):1クリックごとに課金
- CPM(インプレッション課金):広告表示1,000回ごとに課金
- CPV(視聴課金):広告再生回数1回ごとに課金(最後まで視聴しなくても良い)
- CPE(エンゲージメント課金):「いいね」などを獲得するごとに課金
- CPF(フォロー課金):フォロワーを獲得するごとに課金
動画広告では視聴課金が採用される事例が多いですが、どのようなマーケティングを展開するかで最適な課金方式は変動します。
以下、動画広告の掲載媒体ごとの単価相場・費用目安について確認していきましょう。
YouTube
YouTubeは、動画広告の種類ごとに費用単価や収益が発生する条件が異なります。種類別の単価相場は以下のとおりで
動画広告の種類 | 単価相場 | 課金方式 | 費用目安 |
インストリーム広告 | 5~10円 | CPV課金
CPC課金 |
1再生あたり3~20円 |
バンパー広告 | 400~600円 | CPM課金 | 1再生あたり3~20円 |
ディスカバリー広告 | 3~20円 | CPM課金 | 1インプレッションあたり3~20円 |
YouTubeでは、動画広告を作成する際に費用のシミュレーションが可能で、1週間あたりの表示回数や視聴回数や1回の再生における課金額を表示してくれます。
あくまで予測結果なので、動画の種類やターゲットユーザーによって予測数値は変化していきます。
Twitterの動画広告にはCPC課金方式が採用されており、動画の50%が表示されて2秒以上か6秒以上視聴された時・動画全体が表示されて3秒以上視聴された時の2つのケースで課金されます。単価相場は以下のとおりです。
課金方式 | 単価相場・費用目安 |
CPE課金 | 40~100円 |
CPV課金 | 1回再生ごとに5~20円 |
CPF課金 | 40~100円 |
CPM課金 | 400~650円 |
Twitterの動画広告ではあらかじめ設定したターゲットや入札単価をもとに、予測ツールで1ヶ月あたりのユーザーの総数を予測可能です。
キャンペーンを作成する場合は、ターゲティング時にオプション設定をすることで、推定オーディエンスサイズを閲覧することができます。
推定オーディエンスサイズとは、広告作成時に設定したターゲットと広告配置条件に合ったアカウントの概算値です。
Instagramの動画広告の課金方式にはCPV、CPM、CPCが採用されており、広告キャンペーンの目的によって方式が異なってきます。単価相場は以下のとおりです。
課金方式 | 単価相場・費用目安 |
CPC課金 | 50~100円 |
CPM課金 | 1,000円程度 |
CPV課金 | 動画を15秒以上視聴で4~7円 |
CPI課金 | 1インストールあたり100~150円 |
CPI課金とは、広告配信されたアプリがインストールされた回数によって課金が発生する方式のことです。
Instagramでも、動画広告の費用を広告作成画面上でシミュレートすることができ、1日あたりの広告予算と掲載期間から、推定リーチ数を導き出せます。
FacebookもInstagramと同様、広告キャンペーンの内容によって課金方式が異なってきます。単価相場は以下のとおりです。
課金方式 | 単価相場・費用目安 |
CPC課金 | 50~700円 |
CPM課金 | 500~2,000円 |
CPV課金 | 2秒以上か10秒以上視聴で100~150円 |
CPM課金の単価が高いものの、1日の上限額を設定しておくことで広告費が過剰にかかることはありません。
また、Facebookも広告作成画面で動画広告にかかる費用をシミュレートでき、掲載期間やターゲット、1日の予算を入力すると推定リーチ数が表示されます。
動画広告のメリット
動画広告が持つメリットは、以下の4つです。
- 伝えたい内容を短時間で強く訴求できる
- ターゲットにリーチしやすく視聴者の記憶に残りやすい
- 成果や表示回数をもとに課金されるため無用な費用が発生しない
- 再生数やクリック数など、具体的な指標があるため効果を計測しやすい
動画は視覚と聴覚の両方を通じて多くの情報を発信できるため、ユーザーの記憶に残りやすく、商品やサービスの機能・特徴などを魅力的に伝えられます。
ストーリー性のある動画広告を制作すれば、商品を使うことによる変化や商品開発の背景・具体的な使用シーンなどを短時間で伝えられるため、他の広告と比べてユーザーに刺さりやすいという特徴があります。
また、再生数やクリック数などを用いて動画を視聴したユーザーの行動を定量的に分析できるため、収集したデータをもとに広告の内容を改善しやすい点も利点です。
課金も成果や表示回数をもとに発生するため、余計なコストも省けます。
動画広告の効果を上げるには?
動画広告の効果をアップさせるためには、以下の4つの点に注意しましょう。
- 動画時間はできるだけ短く抑える
- ターゲットと広告の目的を明確にする
- 媒体の強みに応じてクリエイティブを制作
- 出稿した後は分析を行う
動画広告の目的を明確にし、ターゲットを設定することは効果的なマーケティングにおいては必要不可欠な事柄です。
例えば、企業の認知拡大と商品の宣伝ではクリエイティブの内容が大きく異なってきます。訴求対象層が定まっていなければ、効果的な宣伝は難しくなります。目的を明確にしてターゲット選定を行うことで、ユーザーに刺さる広告が制作できるのです。
動画広告はユーザーに視聴されることで訴求ができるため、動画時間はなるべく短くし、ユーザービリティを阻害しないようにしましょう。
特に開始5秒間はスキップされる可能性が高いため、その間にインパクトを与えたりターゲットを明示したりすることで視聴者を惹きつけることが必要です。
また、動画広告出稿後は必ず効果測定・分析をし、ユーザーの動向を把握して今後の運用改善に活かしましょう。
まとめ
動画広告はその種類ごとに異なる特徴と単価相場があります。自社のマーケティング戦略に適した広告を作成し、訴求層に応じた掲載媒体に出稿することで効果を出すことができます。
「自社の戦略に適した動画広告を作成するのは、少し難しそう」「ターゲット層への訴求に適した媒体がわからない」という思いを抱えている方は、NERDがサポートします。
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