デジタルマーケティングでKPIに設定すべき重要な10個の指標

デジタルマーケティングの成功を目指す上で、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することは不可欠です。しかし、さまざまな指標が存在するため、初めてKPIを設定する方にとっては混乱することもあるでしょう。
この記事では、デジタルマーケティングにおける代表的な10のKPI指標を紹介し、それぞれの指標がどのようなシーンで最適かについて解説します。また、KPI設定のメリットや押さえるべきポイントについても触れているので、社内の新入社員がデジタルマーケティングの基礎を理解するための参考にしてください。

 

目次

1. KPIとは

KPI(Key Performance Indicator)は、ビジネスの目標達成に向けた進捗状況を測定するための具体的な数値です。ビジネス活動の中で「何を」「どれくらい」「いつまでに」達成するかを明確にする指標として設定されます。KPIは日々の活動を通じて改善すべきポイントを特定し、目標達成に向けた具体的なアクションを支援する役割を果たします。

KPIとKGIの違い

KGI(Key Goal Indicator)は、最終的なビジネス目標の達成度を示す指標です。例えば「年間売上1億円達成」や「市場シェアを20%に拡大する」といった具体的なゴールを設定します。KGIはビジネスの結果を測るものであり、その時点での成果や最終的な評価を反映します。
一方、KPIはそのKGIを達成するための中間的な指標として機能します。KPIは日々の業務やマーケティング活動の進捗を測定し、必要なアクションを修正しながら最終的な目標に近づくための道標となるものです。KPIの適切な設定と実行によって、KGIの達成が現実のものとなります。

KPIの設計とKGIの達成

KGIは結果そのものであり、直接操作することはできません。目標の結果をコントロールするためには、日々の活動を反映した具体的なKPIを設計し、それを達成することで間接的にKGIの改善につなげる必要があります。言い換えれば、KPIは「手段」、KGIは「結果」であり、適切なKPIを設定することで、KGI達成の確率を高めることが可能です。
例えば、KGIが「年間売上1億円達成」の場合、そのためのKPIとして「月間新規顧客獲得数を50件にする」や「顧客の平均購入単価を10%向上させる」といった具体的な数値目標を設定します。こうしたKPIを達成していくことが、最終的なKGIの達成に結びつくのです。

 

2. デジタルマーケティングのKPIに用いられる指標10選

以下は、デジタルマーケティングにおいて頻繁に用いられるKPIの代表的な指標です。KGI(売上向上)を達成するためには、これらのKPIを適切に設定し、改善を図ることが重要です。

2.1 CPA(顧客獲得単価)

  • 計算方法: CPA = 広告費 ÷ 獲得したコンバージョン数
  • 概要: 1件のコンバージョンを獲得するために必要な費用を示す指標で、低いほどコスト効率が良いとされます。
  • KGIとの関連: CPAを低く抑えることで、同じ予算でより多くの顧客を獲得することが可能となり、売上の増加に直結します。
  • 2.2 CV数、CVR(コンバージョン率)

  • 計算方法:
  • CV数 = コンバージョンしたユーザーの総数
    CVR = (コンバージョン数 ÷ 訪問者数)× 100

  • 概要: CVは、特定のアクション(商品購入、資料請求など)を完了したユーザー数を示し、CVRは訪問者数に対するコンバージョンの割合を示します。高いCVRはマーケティング施策が効果的であることを示します。
  • KGIとの関連: CV数やCVRを向上させることで、売上に結びつくアクションを増加させ、最終的な収益向上につながります。
  • 2.3 ROAS(広告費用対効果)

  • 計算方法: ROAS = (売上 ÷ 広告費)× 100
  • 概要: 広告費用に対する売上の割合を示す指標で、広告の投資効果を評価するのに用います。高いROASは効率的な広告運用を意味します。
  • KGIとの関連: ROASを高めることは、より少ない広告費で高い売上を生み出すことを意味し、直接的に利益の向上につながります。
  • 2.4 エンゲージメント率

  • 計算方法: エンゲージメント率 = (エンゲージメント数 ÷ 投稿の表示回数)× 100
  • 概要: SNS投稿やメールキャンペーンに対する反応(「いいね」、シェア、コメントなど)の割合を示します。SNS施策の成果を測るのに適しています。
  • KGIとの関連: エンゲージメント率が高いと、顧客の関心度やブランド認知度が向上し、最終的に売上向上につながる可能性が高まります。
  • 2.5 クリック数、CTR(クリック率)

  • 計算方法:
  • クリック数 = 広告やリンクがクリックされた総数
    CTR = (クリック数 ÷ 表示回数)× 100

  • 概要: クリック数は広告やリンクのパフォーマンスを評価する指標であり、CTRは広告やリンクがどれだけクリックされたかを示します。
  • KGIとの関連: CTRが高ければ多くのユーザーが興味を持ってサイトに訪れることになり、商品購入などのコンバージョンにつながりやすくなります。
  • 2.6 PV(ページビュー)数

  • 計算方法: PV数 = Webページが表示された回数
  • 概要: ページごとのPV数を分析することで、どのコンテンツがユーザーにとって魅力的かを把握し、最適なコンテンツ戦略を練ることができます。
  • KGIとの関連: PV数が増えることで、サイトへのトラフィックが増え、商品やサービスに対する購入意欲を高める機会が広がります。
  • 2.7 セッション数

  • 計算方法: セッション数 = サイトを訪れたユーザーの訪問回数
  • 概要: ユーザーがWebサイトを訪問した回数であり、訪問者数とリピーターの割合を分析することができます。
  • KGIとの関連: セッション数が増えることで、サイトの認知度向上と販売機会の増加が期待でき、売上アップにつながります。
  • 2.8 リピート率、解約率

  • 計算方法:
  • リピート率 = (リピート顧客数 ÷ 全顧客数)× 100
    解約率 = (解約した顧客数 ÷ 全顧客数)× 100

  • 概要: リピート率は再購入の割合を示し、解約率はサブスクリプションや定期購入の解約数の割合を示します。
  • KGIとの関連: 高いリピート率を維持し、解約率を低く抑えることで、安定した収益と長期的な顧客価値の最大化が可能です。
  • 2.9 回遊率、離脱率、直帰率

  • 計算方法:
  • 回遊率 = (ページ間を移動したセッション数 ÷ 全セッション数)× 100
    離脱率 = (特定ページでの離脱数 ÷ 全ページビュー数)× 100
    直帰率 = (1ページだけ閲覧して離脱したセッション数 ÷ 全セッション数)× 100

  • 概要: 回遊率はサイト内でのページ遷移の割合、離脱率は特定ページからの離脱の割合、直帰率は1ページのみでの離脱の割合を示します。
  • KGIとの関連: 回遊率を上げ、離脱率や直帰率を下げることで、ユーザーの滞在時間を長くし、購入への導線を強化できます。
  • 2.10 UU(ユニークユーザー)数

  • 計算方法: UU数 = 指定期間中にWebサイトを訪れた重複しないユーザー数
  • 概要: 特定期間におけるサイト訪問者の数を示し、実際の訪問者数の推移や認知度を測定します。
  • KGIとの関連: UU数が増加することで、ブランドの認知度が高まり、潜在的な購入者が増える可能性があります。
  • 売上向上のためのKPI活用方法

    KGIが「売上向上」である場合、これらのKPIを適切に設定し、パフォーマンスを監視・改善することが不可欠です。例えば、CPAを抑える ことで同じ予算でより多くの顧客を獲得し、CVRを向上させる ことで訪問者を効率的に顧客に変換できます。さらに、ROASを高めて 広告の投資対効果を最適化し、エンゲージメント率クリック率 を向上させることで、ブランド認知度と顧客の購入意欲を高めることが可能です。
    これらのKPIの成果が集まることで、KGIである「売上向上」を達成する道筋が整えられます。適切な指標を選び、戦略的に活用することが、売上の最大化に結びつく鍵となります。

     

    3. 目的別!デジタルマーケティングでよく使われるKPI

    目的に応じて適切なKPIを選ぶことで、戦略的なマーケティング施策を行うことが可能です。以下は一般的な目的に対応するKPIの一覧です。

    上記を踏まえて、それぜの目的に合わせて、なぜそれぞれ主なKPIが設定されるのか以下で説明します。

    商品・サービスの購入

  • CPA(顧客獲得単価)
  • 理由: CPAは1件のコンバージョンを獲得するためにかかったコストを示します。商品の販売やサービスの購入を目標とする場合、できるだけ低いコストで顧客を獲得することが重要で、CPAはその効率を測るために最適です。

  • CV(コンバージョン数)
  • 理由:購入や申込みなどのコンバージョン数は、直接的に売上に結びつく指標です。商品・サービスの購入を促進するためには、いかに多くのコンバージョンを獲得するかが鍵となります。

  • ROAS(広告費用対効果)
  • 理由: 広告費に対してどれだけの売上があったかを示す指標です。商品の購入を促進する際、広告のパフォーマンスが売上に対してどれだけ効果的であったかを評価できます。

    認知度向上

  • PV(ページビュー)数
  • 理由: PV数はWebページがどれだけ表示されたかを示し、コンテンツが多くの人に閲覧されているかどうかの指標となります。認知度向上を目的とする場合、ページの閲覧回数を増やすことが重要です。

  • セッション数
  • 理由: サイトへの訪問数を表すセッション数は、より多くの人にサイトが認知されているかを示します。新規訪問者が増えることは、認知度が広がっていることの証拠です。

  • UU(ユニークユーザー)数
  • 理由: 特定期間にサイトを訪れたユニークなユーザー数を示し、認知度の拡大を図るための指標として重要です。UU数が増えることで、多くの人がブランドや商品を知っていることがわかります。

    顧客の維持・リピート促進

  • リピート率
  • 理由: リピート率は、既存顧客が再度商品やサービスを購入した割合を示します。リピーターを増やすことは、安定した収益を確保する上で重要なため、顧客維持の指標として有用です。

  • 解約率
  • 理由: サブスクリプションモデルや定期購入サービスにおいて、解約率は顧客満足度やサービスの継続性を測る指標です。解約率を低く抑えることが、顧客維持の成功に繋がります。

    イベントやキャンペーンの集客

  • CPA(顧客獲得単価)
  • 理由: イベントやキャンペーンに参加者を集めるための費用を抑えることは、効率的な集客に不可欠です。CPAが低いほど、より多くの参加者を集めることが可能になります。

  • CV(コンバージョン数)
  • 理由: イベントやキャンペーンの登録者数や申込み数を測定することで、集客活動の効果を把握することができます。

  • エンゲージメント率
  • 理由: SNSやメールマーケティングを通じて、イベントやキャンペーンに対するユーザーの関心度を示します。エンゲージメント率が高いと、興味を持っている人が多いことを示し、参加率の向上が期待できます。

    具体例

    商品・サービスの購入を目的としたKPI設定

  • 例: 「オンラインストアでの購入を促進するために、CPAを$40以下に抑え、月間コンバージョン数を500件に増加させることで、売上を20%向上させる」
  • 認知度向上を目的としたKPI設定

  • 例: 「Webサイトの月間PV数を50,000件に増やし、UU数を25,000人に引き上げることで、ブランド認知度を高める」
  • 顧客の維持・リピート促進を目的としたKPI設定

  • 例: 「リピート率を30%に引き上げ、解約率を5%未満に抑えることで、安定した収益基盤を構築する」
  • イベントやキャンペーンの集客を目的としたKPI設定

  • 例: 「SNS広告のCPAを$10以下に抑え、キャンペーン参加者を2,000人に増加させる。エンゲージメント率を20%に高め、SNSでのシェアを促進する」
  • このように、各KPIがそれぞれの目的にどう関連し、どのような戦略的意義を持つのかを明確にすることで、KPIの設定がより実効性のあるものとなります。

     

    4. KPIを設定する4つのメリット

    4.1 チームとして目指すべき方向を意識できる

    KPIを設定することで、チーム全員が共通の目標を持ち、同じ方向に向かって行動できます。各メンバーが自分の役割や貢献すべきポイントを明確に理解し、チーム全体として統一された戦略で目標達成を目指すことが可能です。

    4.2 解決すべき課題を把握して行動できる

    KPIは、どの施策が有効で、どの分野に弱点があるのかを定量的に評価するための基準となります。具体的な数値目標を設定することで、施策の効果を客観的に判断し、問題点を迅速に特定することができ、より効果的な解決策を見出すことが容易になります。

    4.3 定量的な評価に基づいた振り返りと次の施策への活用

    KPIを設定することで、施策を「なんとなく良かった」という感覚的な評価ではなく、具体的にどの程度の成果があったかを数値で振り返ることができます。これにより、過去の施策の成果を反省し、どの部分を改善すべきかを明確にすることができます。定量的な評価に基づく分析は、次の施策に向けた改善策を具体的に計画するための重要なベースとなり、継続的なパフォーマンス向上に貢献します。

    4.4 改善点を見つけやすく、次のアクションを具体化できる

    KPIを定期的に評価することで、どの施策がうまく機能しているか、または改善が必要なエリアを迅速に特定できます。具体的な数値に基づいて評価を行うため、問題点を発見するだけでなく、その原因を分析し、次のアクションプランを具体化することが可能です。これにより、戦略の微調整が迅速かつ効果的に行えます。

    この内容では、KPIの定量的な評価が施策の改善にどのように役立つかを強調しました。定量分析の重要性を踏まえ、次のアクションに繋げるプロセスを明確に示しています。

     

    5. KPIを設定する際に重要な3つのポイント

    5.1 達成できる数値であるか確認する

    KPIを設定する際には、現実的かつ達成可能な数値目標を設定することが重要です。

  • 理由: あまりに高すぎる目標を設定すると、チームの士気が低下し、逆にやる気を損なうリスクがあります。一方、低すぎる目標では達成感が薄く、実質的な成長を促すことができません。
  • 方法: 過去のデータや業界ベンチマークを参考に、達成可能性の高い数値を設定しましょう。例えば、前年同期のパフォーマンスを基に「10%の増加」など、段階的にステップアップする目標を設定すると効果的です。適度に挑戦的でありながらも、現実的な目標を設定することで、チームが一体となって取り組むための動機づけとなります。
  • 5.2 どのような効果がもたらされるのか予想しておく

    KPIを設定する前に、その達成がビジネスにどのような影響を与えるかを予測しておくことが必要です。

  • 理由: KPI達成が目指すべき方向性や戦略の調整にどのように寄与するかを事前に理解しておくことで、活動の優先順位を明確にすることができます。予想される成果をもとに、リソースを適切に配分し、最も効果的な施策を選定できます。
  • 方法: KPI達成によってどのような具体的な効果が期待されるか、シナリオを描いておきましょう。例えば、「CVR(コンバージョン率)が5%向上すると売上が10%増加する」といった具体的なシナリオを想定することで、KPIが目標達成にどのように寄与するかを明確にできます。また、複数のシナリオを考えることで、状況の変化に柔軟に対応できる計画を立てることが可能です。
  • 5.3 デジタルマーケティング戦略の1ステップであることを理解する

    KPIは最終目標そのものではなく、目標に到達するための段階的なステップやマイルストーンとしての役割を持ちます。

  • 理由: デジタルマーケティング戦略は、短期的な成果だけでなく、中長期的な成長も視野に入れた取り組みが必要です。KPIはその一連のプロセスの一部であり、最終目標であるKGI(Key Goal Indicator)達成に向けた進捗を測るためのツールです。
  • 方法: 各KPIを戦略の大きな絵の中でどう位置付けるかを考えましょう。KPIが単なる数値目標ではなく、ビジネス全体の戦略にどのように貢献するかを意識することが重要です。例えば、「月間新規顧客獲得数」や「サイトの訪問者数の増加」などのKPIを設定し、その達成がKGIである「年間売上目標の達成」にどのように結びつくかを明確に示すことで、具体的な行動計画を策定しやすくなります。
  • このように、KPIを設定する際には、達成可能性、期待される効果、そしてそれが戦略全体の中でどのような役割を果たすかをしっかりと考慮することが必要です。これにより、KPIは単なる数値目標ではなく、ビジネスの成長を促進するための重要な指標となります。

     

    6. まとめ:KPIを活用してデジタルマーケティングを成功させよう

    KPIを戦略的に活用することで、デジタルマーケティングの成果を最大化できます。定期的な評価と調整を行いながら、チーム全体で目標達成に向けた取り組みを続けましょう。

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